遭遇

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遭遇

計器が異常を知らせた。すごい磁気反応だ。放射エネルギーも半端ではない。航路に問題はなかったはずだ。ならば航路をそれて未知の恒星に突っ込んでしまったのか? わたしには宇宙飛行士たる覚悟はない。しかもそんな能力だってない。ただ適性だけでこの宇宙船に乗せられたのだ。まあいまさら恨んでも仕方ない。成り行きに任せるしかないのだ。つまりわたしにその航路を修正することはできないということだ。 宇宙船の窓から見ると、それはまるで太陽のようだった。だがよく見ると、それはひとつひとつが小さい光の集まりだ。それは恒星ではなかった。それは作られた何かだ。ただ、それがあまりにも巨大なので、星のように思ってしまったのだ。 そうしてそれは、まるで意思を持つようにこの宇宙船に近づいてきて、止まった。まあそれもやっぱり、宇宙船のようで、でもこれほど大きな宇宙船は、やはり地球のそれではないと思った。
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