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地球から4,456日目
ケンタウルス座座標422。第三恒星間を過ぎたあたりで船体に異常が感知された。まあ、宇宙空間を脆弱なアルミと、それを覆うセラミックだけで航行しているんだ。よくまあいままでなにごともなく、とわたしは思った。
宇宙船『エリオスタ』は光と同じ速度で進む、いわば光速宇宙船だ。いままで何の支障もなく航行できた。これはわれわれ人類の科学力と、ちょっぴりわたしの能力のおかげ、なんだろうな。
「いっけない、船体に穴が開いてる」
わずか数ミリの塵でも、光速で宇宙空間を航行している宇宙船には、ちょっとでもそれがかするだけで、それは甚大な被害になる。すでにもう、船体に張り付けていた耐熱セラミックパネルの二割は、そんな理由ではがされていた。それでもよく無事に航行していると、われながら感心するところだ。
「コンピュータ。ダメージリポートを」
宇宙船のシステム全般を統括するコンピュータに被害状況を聞いた。
「ダメージは軽微。航行可能…」
「いや修理は必要でしょ?」
「ダメージは軽微。航行可能…」
「おい」
答えは予想通りだった。このコンピュータは、いくつ船体に穴が開けば驚くのだろうかと思った。まあこんな調子でずっとやってきた。いままで無事なんだから、だいじょうぶなんだろうね。
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