お題が「黒」

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お題が「黒」

「お前には、ずっとそばにいて欲しい」  7年間付き合っていた彼氏が社長令嬢との結婚式の前日、そう私に告げた。 「どういうこと?私に愛人になれとでもいうの!?」  昨日まで同じ職場で働き、同じ部屋に住み、私の手作りの食事を一緒に食べ、同じベッドで寝ていた彼。  退社時刻をずらすなど、付き合っていることは誰にも悟られないよう注意を払いながら、職場でも常に彼をサポートしてきた。  ここ半年くらいは「疲れている」との事で夜は一緒に眠るだけだったが、いつか彼と結婚できるものだと思っていた。  突然の宣告、そして懇願。  ショックのあまり私の膝は震え、立っているのがやっとだ。 「お前がそばにいないと……俺が困るんだよ」 「困る?」寂しい、とかじゃなくて? 「だってさ、お前……俺にとってお前の存在は『おかん』を通り越して……そう、黒子。24時間完全サポートの黒子的存在なんだよ。黒子のお前がいてこそ俺が輝けるんだよ」  上手い事言った、とドヤ顔の彼。  ーーー私の心の奥からドス黒い何かが、凄い勢いで溢れ出てきた。
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