旅立ち
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お民が村はずれで待っていて、紗代の旅支度を整えてくれた。 「お民、ありがとう」 「お民さん、ありがとうございました」 二人が礼を言うと、「坊ちゃん、お紗代、お達者で」とお民は涙ながらに別れを告げた。 大雨が堤を崩したことを知らないまま、二人は手を取り合い江戸へと向かった。 雨が上がった夕空は、あの
女
(
ひと
)
の着物のように、白藤色に染まっていた。 <了>
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