雨上り

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突如、雨が上り始めた。 雨が降り止んだ訳ではない。 水滴が地上から上空に向かって 上昇しはじめたのだ。 子供たちは面白がり、いつまでも続いてほしいと願った。 大人たちは不吉さを感じ、金相場が高騰した。 公僕たちは管轄外と割り切り、何の手も打たなかった。 宗教家たち教義を修正し、世界の終わりが近いと御託を並べた。 そして、私は敗北感と充足感に満たされていた。 先を越された。 が、間に合った。
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