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「何してんの? 早く脱ぎなよ」
「あ、うん……」
圭くんの細くても精悍な体を前に、どうしても脱ぐのを躊躇ってしまう。自分の薄い体はあまり見られたくない。
そんなこともお構いなしに、脱ぎ終わると手を引かれて浴室のイスに座らされた。
「洗うから目、閉じてて」
「分かった」
温かいシャワーが頭に降り注ぐ。指の腹で頭を優しく洗われ、圭くんと同じシャンプーの香りに幸せを噛み締める。
「流すから」
「うん」
声を掛けられ、シャワーが泡を流してくれる。すごく気持ち良かった。美容室で洗われるみたいに。
「次、体な」
「体? 体も圭くんが洗うの?」
「ああ、何か問題あるか?」
「ううん、ないよ」
……これってアレだよね? すごくえっちに洗われるシチュエーションだよね? 緊張で体が強張る。
それなのに柔らかいスポンジで優しく洗われ、フワフワの泡に包まれた。スポンジでは洗いにくい足の指の間を、泡をたっぷり付けた指で洗われた時はびっくりした。
圭くんは潔癖症なのかな? 自分で綺麗にした相手じゃないと触れ合いたくないとか。そう思ったら丁寧に洗われたのも納得した。えっちに洗われる、と思ってドキドキした自分が恥ずかしい。
先に浴槽に浸かるよう言われ、端の方で膝を抱えて、洗っている圭くんを待つ。洗い終わった圭くんが湯船に浸かると、俺の体を引き寄せて後ろから抱きしめてくれた。
圭くんの腕が俺の腹の前で組まれ、背中に胸が触れて耳まで赤く染まるのが分かる。
「温まれよ。100まで数えたら出るから」
……この状態で100まで数えるの?! 圭くんに引っ付かれてすでに体の芯まで温まってるよ。
圭くんが数を数え始めたから、俺も声を揃えて数える。でも、途中でリタイア。
「ごめん、のぼせそう」
「湯、熱かったか?」
体を支えて立ち上がらせてくれた。
「ううん、それは大丈夫」
圭くんにのぼせてる。裸だし近すぎるしで限界だった。放っておいてくれた方がいいのに、俺がのぼせそうと言ったから、手を引きながら浴室を出て体まで拭いてくれた。
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