名無し

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 とある自殺サイト。  今日もコメントがたくさんやってくる。 入室:匿名希望さん 『初めまして。  学生です。イジメにあってます……。疲れました。一緒に死んでください』 no name 『初めまして……あの、いつ会えますか?』  ――  ―――  ―――― 「今日もすごいねぇ~」  早朝4時。  真っ暗な部屋にほんのりと灯るパソコンとスマホの画面。霊園が隣にある1LDKの小さな個室。新築だが墓が近くにあるせいか、入居人は少ない。  今だ彼のみ。それもそのはず、曰く付きのマンション。自殺、殺人など。あらゆる事件が起きている。取り壊しされるはずが、彼が「立ち退きしたくない」と言い張るため彼専用に……。 「誰と会おうかなぁー」  カタカタカタッと慣れた手つきで、キーボードを打っていく。  名無し 『初めまして、悩める皆さん。  会えるのは日が落ちてから、日が出てくるまで。かなり会いにくい時間帯だけどごめんね。光が苦手なもので……アハハッ』  毎日、サイトを覗いてはコメントを返す。ターゲットを見つけては、会おうと誘い込む。 “ネットに潜む黒い影” 「あっ、この子にしよう」  彼は『あの、いつ会えますか?」とコメントをくれた子に『君の都合の良い時刻と日にち。後で送ってね』と送り返す。 「さて、どう来るか。楽しみだね」
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