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“感情喰い”が和真と出会ったのは先月。
警察である彼は、通報を受け駅近くのビルへ向かった。その時、自殺をしようとしていた女性をたまたま『人体模型』が助けたことがきっかけ。自殺願望があったはずなのに、綺麗さっぱり「私はなぜ?」状態だった。あの男に関わった人が口を揃えて言う。
『大きな髑髏に喰われそうになる』と――。
それから、この男が出没してから自殺が微かに減り、カウンセラーに似たような職に就かせ、和真が責任を持って監視をしている。
「仮面つけて帰れよ」
「はーい。エヘヘッもっと誉めてくれたら嬉しいのに……」
「あ? さっさと帰れ。お前の仕事は一日一人。正直、そんな姿でウロウロされちゃ困る。少しは俺の身にもなれ」
人体模型にドンッと背中から蹴りを入れると満足そうに女の子を抱え、夜道を歩き出す。
「えーちょっと!! 一日一人じゃ仕事にならないって。このままじゃ、死ぬ人が増える。もっと時間増やしてよ。ねぇねぇ、お願い」
暗闇に響く男の声。口調が荒れたり、敬語になったり、甘えたりと忙しい。
「帰って寝ろ。話はまた明日な」と和真の声がぼんやりと返ってくる。
「ムムッいいもん。どうなっても知らないからね」
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