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視線を下に向け、暗闇を走る黒い車を見つけると子供のようにニヤリ笑う。
「よいしょっと」
電柱から飛び下り、バンッと物凄い音を立てて軽く受け身を取る。車のボディーの上に当たる『ルーフ』に着地。
「エヘヘッみーつけた」
嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、和真と何度も口にするや――バンッと下から銃声。銃弾は彼の右胸を貫通し、空の彼方へ飛んでいった。
「あれ……激おこ?」
撃たれた事を気にしてない。
「おい、誰がそこに乗れって言ってた!!」
「ボク」
車の窓を全開にし、怒鳴りながらアクセルを思いっきり踏み、乱暴にハンドルを切る。キィーッと嫌な音を発てながら、車体が真横に――弧を描くような綺麗なドリフト。実は和真の運転技術はF1レーサー並みの腕前だとか。たまにこうやって車で遊ばれるときもある。
「うわぁぁぁっ落ちちゃう!!」
「落ちろ。化け物」
「ヒーッ」
そのまま車体を安定させると、再びハンドルを切り、半回転しながら綺麗に歩道へ駐車。ルーフにしがみついていた彼は、ドサッとアスファルトに落ち「うぇ……」とその場に踞る。
「もう終わりか? 弱い鬼だな。無理矢理急ブレーキかけて、轢いてやればよかったのか」
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