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和真は車から下りると、トンッと軽く爪先で彼を蹴る。
「おい、大丈夫か? 気持ち悪いなら裏路地行け」
「……大丈夫。はしゃぎすぎだだけ」
「そうか、ならいい」
後部座席のドアを開け、倒れている彼を無理矢理車内へ押し込む。いつもは交通機関を使って帰らせるのだが、何かしらあると……誘拐みたいなことが起きる。
「ねぇねぇ、どこ行くの。誘拐?」
「少し付き合え。腹へった」
「僕、お腹すいてない」
「お前は――な。俺は空いてる。何食おうか」
バンッと乱暴にドアを閉めると運転席へ。ルームミラーを細かく動かし、さりげなく人体模型の顔が入るようにする。
「そういや、最近は子供とつるむのが多いな。やはりイジメや人間関係が原因か?」
車のエンジンを付け、ギアをパーキングからドライブへ。
「うーん。そうみたいだね。書き込みが止まらない。アハハッすごい」
真っ暗な車内を照らす、彼のスマホ。仕事以外、手放すことのないほと依存している。暇さえあれば手にはスマホ。
――次のターゲットを探し出す。
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