感情喰い

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 一人スマホで騒ぐ彼。和真は「うるさい」と聞いていたCDの音量を上げた。デスボイスやらドラム、ギターやら激しい曲。警察にしては珍しい。運転しながらルームミラーを見ては彼の様子を伺う。  たどり着いたのは和真が住むマンション。その近くにある行きつけのバー。夜にしか営業していないため、彼らにはうってつけの場所だ。車をマンションの駐車場に停め、人体模型と徒歩でバーへ向かう。  店は大きくないが、少人数せいであり予約制。紫色のネオンで『カリギュラ』と筆記体の看板。黒く静かな外装だが、ネオンがやたらと目につく。 「あのー和真。言っておくけど僕は『人間の食べ物』は食べられないからね。僕が食べるのは『感情』と『欲』だから」 「知ってる。あれだろ、夢喰いパグ。夢を喰らう奴。そんな奴と似たようなもんだろ」 「あーうん。そうだね……」 「お前は俺の横でスマホ弄ってればいい。バーテンダーに話振られても、無視してていいからな」  カランッとバーの店の扉を開く。すると、店内からフワッと酒の香りが漂った。
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