感情喰い

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 たわいもない話をしながら、気づいときには二三時。もう少しで日が変わる。携帯を弄り、怪しげな笑みを浮かべている人体模型。和真はチラッとスマホを覗き「オフ会に誘え」とさりげなく呟く。 「ふぇ? 僕、日が差してるときは行動できないんじゃないの?」  和真の発言に驚いたのか、手からストンッとスマホが抜け落ちる。和真は「ん?」とジントニックを一口。 「未成年が動きやすい時間帯は明るいとき。成人は暗くても会える。まぁ、真夜中に怪しげな行動をしていたら職務質問だがな」 「……でも、昼に動くのは嫌だなぁ。  暗闇の方が視界が見辛いし、溶け込められる」  ダラーンとカウンターに伏せていると「『動きたい』って言ったのはどこのどいつだ」と和真が鋭く睨み付ける。「僕」と小さく手を上げると「だったら、文句言うな」と軽く頭を叩いた。 「……絶対曲芸師や道化師に間違えられそう」 「いいんじゃないか? 正直、俺はお前を囮に使っているだけだ。少しでも自殺やら殺人やら減ってほしい。処理に困る」 「むー。いつかアンタの感情喰ってやる」 「喰えるもんなら喰ってみろよ。無理だと思うがな」
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