感情喰い

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 一人外へ飛び出した人体模型。バーやマンションの周囲を徘徊するように何度も回る。  深夜に近い時間。  マンションや一軒家などの明かりは消え、真っ暗な空と真っ暗な建物しか周囲にはない。光っているのは信号や外灯。深夜帯まで営業しているお店の明かりぐらいだろう。 「うわぁー暗い暗い。これなら、僕でも暴れられるよね」  スキップしながら、誰かいないかと人を探し始める。すると、ゾワッとただならぬ気配。思わず「あはっ」と声が出る。  ――これは殺気――  それとも、誰かの感情や欲が漏れてるだけなのか。体が何かに反応している――喰らえ――と。  彼には人間には見えないモノ。または、妙な気配を感じ取ったりすることが出きる。それは、目では見えない感情や欲、心の声だったり……様々だ。 「クンクン。いい匂いがする。ゴハン?」  彼にしか分からない感情と欲の匂い。獲物を探す猛獣のように匂いを辿る。音を発てないように忍び足。風を切り、物凄い速さで距離を詰める。詰めれば詰めるほど匂いが強く。 「アハハハハッ……みぃーつーけーたぁ!!」
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