0人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
走ったまま馬乗りになるよう獲物に飛び掛かる。ジャケットや髪の毛が軽く乱れ、服で隠していた右手が剥き出しになる。
「ひっだ、誰だッ離せよ!!」
まるで、警察が犯人を取り押さえるような。
「ん? あっ……男の人だぁ。アハハッなんでナイフ持ってんの。誰かを殺しに来たの? それとも、殺されに来たの? 僕、自殺サイトや殺害サイトの主だけど――手伝ってあげようか」
顔を見られないようアスファルトに頭を押し付けた。ついでに、男が手に持っていたナイフを右手で取り上げる。
「イテッ」
「ごめんね。顔見られんの嫌いなんだぁ。で、ナイフ持って何してたの?」
「お前には関係なんだろッ!!」
「うん、関係ない。でも、『誰でもいいから殺したい』なんてバカげたこと考えてるんじゃない?」
ナイフを投げたり、回したり。オモチャのように遊んでいると、さりげなく男の首筋に左手を当てた。体が普通より暖かい。しかも、異常に脈が早いく息も荒い。
――押さえ込んでいるはずなのに力が――
「ヤバイッこれは想定外かも……いつもサイトの人達と会ってるから、突然……豹変するのは――ッ」
最初のコメントを投稿しよう!