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涎を垂らしながら、ゆっくり仮面を外す。和真が電話越しで何かを言っているが何も聞こえない。いや、耳に入らなかった。
「指名手配犯? 犯罪者の感情ってどんな味がするんだろ。不味いのかな。甘いのかな。辛いのかな。しょっぱいのかな。それとも……」
「や、やめろ!!」
「さっきも言ったけど……僕は顔を見られるのが好きじゃない。だから――イタダキマス」
ストンッとスマホが落ちた時、月は一瞬にして雲に隠れた。真っ暗の中で響く男の悲鳴。スマホの画面に映る彼人体模型の顔。バキッとアスファルトにぶつかった衝撃で、画面はクモの巣を描くようにヒビが入る。
そして、次々とマンションの明かりがイルミネーションのように灯った。
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