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人体模型はメンタルや口調も安定しない。興奮したり、グズったり……コロコロと変わってしまう。まるで多重人格。何かしらの精神病の可能性も。
「言っておくが、前のスマホのデータは新しい方に全て入っている。だから、不自由なく使えるはず」
わざとスマホの話にするとすぐに泣き止み、「えっ……ホント?」と目をキラキラと輝かせる。
「あぁ。だから、良い子でいてくれ。オフ会やら出会いやらサイトで会う約束してるのなら外に出ていい。でもその代わり、俺も一緒に行く。何もないなら静かにしてろ」
ヨシヨシと彼の頭を撫で、和真は寝室へ戻っていく。一人玄関に残された人体模型は、トトトトトッと和真の後を追うようにリビングへ。ソファーに寝転び、スマホの画面を点けるとすぐさまサイトを開く。
『主さん、何処行ったんだろ』
『あれ、返事が来ない』
サイトに様々な書き込み。いつもすぐに返信が来るのに、返ってこない。心配する声が続々。
『ハローハロー。スマホ壊れちゃってごめんね』
ポンッと彼が書き込みすれば、コメントがドンドンやって来る。
『よかった……大丈夫ですか?』
『逝ったかと思った』
時には少し嫌な書き込みも。
『いやいや、一緒に死ぬのに逝くわけないでしょ。ねぇねぇ、オフ会のことだけど……参加する人いる?』
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