黒くん

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部屋の中央付近に、応接椅子とテーブルのセットがある。その手前側に、非常に簡素な造りの受付カウンターがある。 カウンターの前に立った。 部屋でたむろしながら、荒んだ仕草で煙草を吸ったりしている男たちの視線が集中する。男たちのあまりの人相の悪さに、たまらず意識が飛んでブラックアウトしそうになる。 気をしっかりと持って、男たちの人数を数えてみる。 ぜんぶで四人。 黒くんが予想した通りの人数だ。 男たちの中でいちばん年若そうな男が歩み寄ってきて、カウンターを挟んで私の真ん前に立ちはだかった。 油で固めて後ろに流したオールバックの黒い髪。黒シャツ、黒ネクタイ、黒いスラックス。四人の男たちの中ではいちばんきちんとした服装をしている。この男が接客担当なのだろう。 「いらっしゃい。初めてだよね」 ぞんざいな口調の言葉を吐きながら、私を値踏みするように上から下まで凝視している。 カウンターに立った黒シャツ以外の面子は、もはや私のことなど見向きもしていない。 「いくら必要なのかな。初めてだから一応説明しとくね。うちは利息が十日で二割。利息は前払い。もしも十万円借りるとしたらあらかじめ利息を二万円さっ引いて、八万円をこの場で受け取れる。借り入れに必要なのは免許証などの写真入りの身分証、それと勤務先がはっきりわかる給与明細」
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