14人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
部屋の中央付近に、応接椅子とテーブルのセットがある。その手前側に、非常に簡素な造りの受付カウンターがある。
カウンターの前に立った。
部屋でたむろしながら、荒んだ仕草で煙草を吸ったりしている男たちの視線が集中する。男たちのあまりの人相の悪さに、たまらず意識が飛んでブラックアウトしそうになる。
気をしっかりと持って、男たちの人数を数えてみる。
ぜんぶで四人。
黒くんが予想した通りの人数だ。
男たちの中でいちばん年若そうな男が歩み寄ってきて、カウンターを挟んで私の真ん前に立ちはだかった。
油で固めて後ろに流したオールバックの黒い髪。黒シャツ、黒ネクタイ、黒いスラックス。四人の男たちの中ではいちばんきちんとした服装をしている。この男が接客担当なのだろう。
「いらっしゃい。初めてだよね」
ぞんざいな口調の言葉を吐きながら、私を値踏みするように上から下まで凝視している。
カウンターに立った黒シャツ以外の面子は、もはや私のことなど見向きもしていない。
「いくら必要なのかな。初めてだから一応説明しとくね。うちは利息が十日で二割。利息は前払い。もしも十万円借りるとしたらあらかじめ利息を二万円さっ引いて、八万円をこの場で受け取れる。借り入れに必要なのは免許証などの写真入りの身分証、それと勤務先がはっきりわかる給与明細」
最初のコメントを投稿しよう!