3

1/5
前へ
/37ページ
次へ

3

「・・・・ハァッ・・・ハァッ・・・」 定光の唇がソッ···と離れた後、苦しくなっていた身体にやっと気付き、酸素を求めて空気を吸っていく。 「か・・・・・・」 定光がそんな私のことをすぐ近くで見下ろし、”か“と言ってきた。 「か・・・・?」 「か・・・・・」 「か?」 「か・・・・・」 「・・・・・。」 「・・・・・。」 よく分からず定光のことを見詰め続けていると、定光が苦しそうに顔を歪め・・・ 裸の私の身体に倒れ込んできた。 「ダメだ・・・・っっ!!! やっぱり、ダメだ・・・・っっ!!! こんなはずじゃなかった・・・・!!! 思ってたのと違う・・・・・!!! 思ってたのと全然違った・・・・!!!」 そんな叫びには凄くショックを受け、凄く苦しくなってきて・・・。 「キス・・・初めてで・・・、どうやってすればよかったのかな・・・、上手く出来なくて、ごめんね・・・?」 「・・・・・・そんなことないよ。」 「やっぱり・・・やっぱり、私とは違ったよね・・・。 私のことは”そういう対象“とは違ったよね・・・?」 「・・・そんなことない。」 「そっか・・・。」 「うん・・・。」 ”そんなことない“という言葉で慰めてくれる定光の洋服からゆっくりと両手を離し、その手で定光の肩を少しだけ押した。 「結婚なんてしなくてもいいよ。 心はちゃんと結ばれてる。 それに私達には可愛い男の子が4人もいるからね。 これからも”パパ“と”ママ“としてずっと一緒にいよう?」 私の顔を見てくれることはない、私の身体の上に倒れているままの定光にそう言った。 凄く凄く苦しいけれど、そう言った。 そしたら・・・ 「どうやって・・・”可愛い“って言うんだったけ・・・?」 今度は定光がそう言ってきて、それには小さく笑った。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加