一つの鍵

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一つの鍵

長い時間 長い年月 ずっと探し続けた ずっと求め続けた 「一つの鍵」 沢山の出会いがあった それでも私の心に合う鍵はみつからなかった いつもいつも 合わない鍵は私の心を傷付けていく その度に心から血の涙が流れていく 傷は増えていくばかり もう探す事を求める事を止めた 傷つくのが怖くなった 流れる事のない涙を流すのが苦しくなった 誰に対しても心を閉ざし 鍵穴も塞いだ ほんの気紛れだった 心を開くつもりなんて無かった ただ… そう… ただ「寂しかった」 だから私の事を「好き」だと言ってくれた人に 私は自分の事を話した 誰にも話していない 「私だけの秘密」 この話しをすれば アッサリ消えてくれると思った それなのに… それでも「好き」でいてくれた 「愛してる」と言ってくれた 「カチッ」 と私の心の鍵が開いた 言葉に出来なかった 「愛された」 そして私も 「愛した」 解放されていく傷付いた心 探し求めていた鍵 それをあの人は持っていた 幸せを感じる 愛を感じる 開いた心は今まで溜め込んでいた 苦しみ哀しみを癒し 開いた心は愛で満たされ 傷も消えていった 「愛し愛される」 たった一つ… 私が探し求めていた想い だけど… 二人が結ばれる事は… 叶わない それでも… やっと合う鍵が見つかった それだけでもいい 鍵穴にはあの人が差した鍵が残っている もう… 他の鍵で傷つく事も血を流す事も無い 「一つの鍵」 大切な大切な鍵 あの人が傍にいなくても 愛を感じる事が出来る大切な鍵
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