232人が本棚に入れています
本棚に追加
⚠️WARNING①⚠️
彼女の場合は、自分の取り巻く環境のせいかもしれない。
その為、若くある為に最大限努力をしているという所か。
彼女はとある企業の、名誉会長の『愛人』だ。
しかし奈嗣の呼び出しに応じるのには、彼女自身にも好都合なのだ。
お互いがお互いを利用する。
そんな仲は、あまり大きな声で言えるものではないが出会った当初より続いていた。
そんな彼女の来訪を、奈嗣は何時も借りているスイートルームの中の入口で待っていた。
入口より数歩離れた場所に、壁に寄り掛かり、腕を組んで目を瞑った状態だ。
先程、ホテルの受付より『弓原様がお訪ねです』と連絡があった。
あと少し…。
僅かな時間である筈なのに、己の中にある差し迫る『黒い感情』に押し潰されそうになる。
その恐怖にも似た感情を、奈嗣は腕を組んで耐えている。
長かったのか短かったのか。
目の前の扉が、ゆっくりと開いた。
“勝手知ったる”とばかりに、律子は奈嗣の宿泊している部屋の扉をノックすらせずに中に入った。
「…お待たせ。…来…」
律子が中に入り扉が閉まると同時に、奈嗣は律子に駆け寄り正面から、その華奢な肩と腰を掴み引き寄せた。
驚愕する律子に構わず、噛み付くように唇を重ねた。
律子の肩にかけていたハンドバッグが、スルリと滑り落ちたがお構い無しだ。
奈嗣は直ぐに律子の小さな口に舌を差し入れ、深く、深く絡める。
奈嗣の焦りが、時折小さな声となって唾液の絡む音と共に漏れ出た。
律子は奈嗣の首に腕を回し、奈嗣からのキスを受け入れる。
奈嗣から抱かれる為に、律子はわざわざこの部屋を訪れたのだ。
拒否する理由は無い。
律子の妖艶なボディにフィットした、伸縮性のあるワインレッドのV字にクロスした前身頃のワンピースに、奈嗣は躊躇いもなく手を差し入れた。
華美であろうブラジャーの感触が、奈嗣の手の平に触れる。
しかし奈嗣に余裕は無く、形の良いバストは奈嗣の手によって揉みしだかれる。
「…んっ…、はぁ…っ」
律子から、溜息にも似た吐息が吐き出された。
しかし奈嗣は動きを止めなかった。
律子の唇から離した唇は、今度は細い首筋を辿っている。
律子を壁際に追いやり、抱き締めていた腕を離した奈嗣は、律子からワンピースを脱がそうと肩から下に下ろす。
ウエストでフィットした生地が巻き付くようにデザインされたワンピースは、律子の腕から袖を抜いても床に滑り落ちることはなかった。
ウエストで止まったワンピースをそのままに、今度は華美な刺繍が施された真っ赤なブラジャーのカップを押し下げ、形の良い乳房に触れる。
「…奈嗣…、待って。汚しても良いけど、破って欲しくは無いのよ、この服。」
律子は冷静に、奈嗣に向かって言う。
首筋を舐めていた奈嗣は、少し冷静さを取り戻すと顔を上げた。
「…悪い。…奥に行こうか。」
着崩れたままの姿の律子の腰を抱き、奈嗣はそう言った。
律子の体温に触れ、そう言えるだけのゆとりが少しだけ奈嗣に生まれた。
「そうね。ベッドが良いわ」
律子は奈嗣の言葉にそう答え、奈嗣の身体に寄り添う。
最初のコメントを投稿しよう!