腹黒女子に恋

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「ねぇ、川口くん。気を付けた方がいいよ、ほら、村西さん。幼馴染だから仲良いのは分かるけどさ、絶対媚びうってるよ、川口くんに」  朝、クラスメイト1から言われたセリフ(全文)だ。何のことかと、思い出す。ああ、なんだあのことか。  150cmも身長がない村西は、一人で黒板を消すことができない。椅子でも持ってきて消すのが一番いいんだろうけど、村西は決まって(すが)るような目で俺の方を見る。いや、正確には俺ではないんだけど、クラスメイトには、村西がぶりっ子全開で俺を頼っているように見えるらしい。そんな風にとんだ勘違いをされている村西が何となく不憫で、俺も視線を感じたら、助けてしまう。毎回、「お前じゃねぇよ」という村西からの視線を感じながら。今朝もそんなことがあったのだ。  「ああ、分かった分かった」  適当にあしらったのが気に食わなかったのか、不満気な様子でクラスメイト1は自分たちのグループに帰っていた。
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