腹黒女子に恋

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 「ねえ、川口お弁当食べよー!」  毎日の恒例だが、今日も席に村西がやってきた。クラスメイト1、2、3がこちらを気にしているのが分かったが、彼女の目的は俺ではない。俺の後ろの席の神田美羽だ。  さっぱりとしたショートカットに、すらっとした高身長。村西とは真逆な神田。そんな神田に、村西が恋愛的な好意を持っていることを俺は知っていた。    俺と村西は幼稚園からの幼馴染だ。当時から、気の強かった村西は周りから反感を買うことも多く、嫌味や悪口を言われることも多かった。しかし、その度に、ずかずかとその輪の中に侵入し、「言いたいことがあるなら、はっきり言いなさいよ!」と言えるだけの度胸があった。  俺は、そんな村西が好きだった。心の真ん中に真っ直ぐとしたものが通っているようで。頑丈、気丈。そんな頼もしい彼女が大好きだった。  神田とは、同時期にピアノの習い事で出会った。個人経営で、家でピアノのレッスンの受け入れをしている家の子が、神田美羽だったのだ。  そんな女子たち二人は、俺という共通の友人を介して小学生のときに仲良くなった。それから、高校二年生になった今でも、腐れ縁か一緒にいることが多い。
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