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帰る方角が同じなので3人で一緒に帰る。これも、小学生の時からの日常だった。
「ねぇ、アイス食べてこーよ!駅の近くに最近できたって聞いた!」
村西が飛び跳ねながら、神田の腕に抱きついた。相も変わらず、俺のことはアウトオブ眼中らしい。
「いいよー!川口も行きたいでしょ!」
「うん、行こう」
行きたいってほどじゃないが、一人だけ帰るのも何だし、とりあえずついていくことにした。
「で、例の彼とはどうなのよー!今日委員会あったでしょ!進展とかあった?」
アイスに食らいつく前に村西がまた、口を開いた。いつものことではあるが、とにかく、村西は神田の恋愛事情が気になって仕方がないようだ。大好きなチョコミントのアイスには目もくれず、神田を見つめて情報を聞き出そうとしている。神田も神田で、また、声を弾ませながら惚気を聞かされる、と思ったが今回は違った。
「それが、委員会のとき、隣のクラスの女の子の仕事を手伝ってたんだよね。友達から聞いたんだけど、中学も一緒だったらしくて、なんかちょっともやもやするなーって。ってごめんね、こんな話!」
恋愛に前向きな神田の珍しい弱音。俺は何か励ます言葉を探った。その間、村西の目が爛々と光るのを見た。
「あちゃー。それはちょっと、難しい問題だね」
村西が意図せず、嬉々として言った言葉に、神田がむっとした表情を浮かべたのに俺だけが気がついた。
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