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後日。いつものように、机を合わせてお弁当を食べた。いつもは、村西が、「で、例の彼とはどうなのよー!」と神田に聞くところだが、今回は違った。
神田の方から口を開いたのだ。
「あのね、もう私、澤野くんのこと諦めようかなって思ってるの」
突然の相談に、「どうして?」と思わず尋ねる。
「昨日、澤野くんと、この間言った女の子が一緒に帰ってるの見ちゃったの。彼女いないって言ってたけど、今後もしかしたら、二人がそういう関係になるかもって思ったら、なんかもうしんどくて……」
「いいと思うよ」
間髪入れずに村西は答えた。そりゃ、村西からしたら、美味しい話だろう。好きな人の別の人との恋愛が破綻してくれるのは、願ったり叶ったりだろう。満足そうにお弁当のちくわを頬張っている。でも、神田にしてみれば、今の発言は毒を盛るような発言だ。
「なにそれ」
神田が口を開いた。神田に視線を送ると、すごい形相で村西のことを睨みつけていた。今まで、一緒にいた時間の中で、神田が怒った表情をするのは初めてだった。
「前々から思ってたんだけど、面白半分に私の話聞いてるでしょ!……花のそういうところ、ちょっと性格悪いよ」
目に涙を浮かべて、今にも泣き出しそうな神田を見るのも初めてだった。神田はその場に居た堪れなくなったのか、お弁当もほっといたまま教室を飛び出していった。
花は、最初びっくりしたようで、唖然としていたが、はっと我に帰るとすぐに神田の後を追いかけに教室を飛び出した。
俺も急いで後を追いかけた。追いかける俺の後ろで、クラスメイト1、2の声が聞こえてきた。
「うわ、村西さんついにやったよ」
「神田さん可哀想」
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