腹黒女子に恋

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 走って走って走って、村西に追いついたとき、村西は階段の下にいた。上を見上げて、呆然とした様子だ。俺も同様に、見上げると神田と例のバレー部の彼がいた。  恐らく、神田が逃げた先で、バッタリと出くわしたのだろう。泣いてる神田に訳を聞こうと寄り添って、背中を撫でてなだめようとしている。その様子はまるでカップルのようだった。  話しかけるに話しかけられない状態に、為すすべもなく、その場に立ちつくしていたが、突然、隣にいた花がその場から離れた。すぐに後をついていくと、「ついてくるな」と言わんばかりに走って、振り切られてしまった。  俺はすぐに花を探した。教室には……いない。中庭にもいない。どこにも見つからなかった。腹黒いと言われている村西に、3人で過ごす以外の居場所がないのは分かっていた。
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