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また一日が始まる。
ただ過ごすだけの日々。
私の存在になんの意味があるのだろうか。
物心ついた頃から、私はずっと一人で暮らしている。
リィーン
幼い頃誰かにそう呼ばれていた気がする。
今は、誰からも呼ばれることはないけれど。
多分それが私の名前だと思う。
あの頃は、誰かが側にいたような気がする。いつ頃一人になってしまったのか、どうしてその誰かがいなくなってしまったのか、その辺りの記憶は曖昧だった。思い出そうとしても、頭の中にモヤがかかった感じがして、どうしても分からなかった。
まるで無理矢理忘れようとしたみたいに…
悲しい記憶の予感がするので、過去を振り返ることは放棄している。
家の周囲を見渡しても、目に入るのは木ばかり。
いったいここがどこなのかも、今日がいつなのかも分からない。
この状態で育っていたら、普通なら平静ではいられないと思う。
でも、私は、何となく自分の状況を把握している。
多分、ここは、前世で流行った乙女ゲームの世界だと思うから。
先日、どこから飛ばされてきたのか、偶然ビラのようなものを見つけた。
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