6人が本棚に入れています
本棚に追加
いつ届かなくなるかもしれないのに、今迄の私は、何の疑問も持たずに過ごしていたのだろうか。
服も2着しかない。
正確には分からないけれど、年に1度くらいだと思う。
決まって二着、服が届けられていた気がする。
まぁ、交互に着れば洗える枚数だけれど。
文句も言わずに過ごしていた私は、すごいな。
庭を耕して、畑とか作れるのかもしれないけれど、生憎、そんな知識は持っていなかった。
大人しく、ここから出ずに過ごしていた。
でも、記憶が戻ってからの私は違う。
試しに門から出ようと思う。
お金などないし、行くあてもないけれど、とにかくここを出てみたい。
一応社会人として働いていた記憶もあるし、この世界でもなんとかなりそうな気がする。
私はすぐに行動することに決めた。
カゴに残りのパンを詰めて、さっそく門から出ようとした時だった-
『あっ』
手が滑りカゴを落としてしまった
直後、ガシャンと金属音が響く。
『??』
何の音だろう。
足元から刃物が挟まるような音がした。
恐る恐る音のした方向を見ると、先程落としたパンが散乱していて、カゴが真っ二つに割れていた。
最初のコメントを投稿しよう!