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突然、ヒュッと目の前を横切る物が見えた。 おそるおそる何かが飛んだと思われる方を向くと、木に矢が刺さっていた。 「ヒィッ!」 思わず変な声が漏れる。 あまりの恐怖で固まって動けずにいると、突然口を塞がれ、袋のようなものをかぶせられたかと思うと、誰かに抱えられた。 こわい‼︎ もしかして誘拐? どうしよう。叫ぼうとしても恐怖で声も出せなかった。 私は抱えられて、どこかへと運ばれているようだった。 身体に衝撃を感じたので、地面に降ろされたようだった。「きゃっ」と思わず叫び声が漏れる。これから何をされるのか、堪らなく怖くてガタガタと震えていた。 幸い小さな穴が空いていて、呼吸をする事はできた。 恐怖と不安から心臓が大きく跳ね上がるのを感じる。 どのくらい時間が経ったのだろう… 誰かの足音などは聞こえず、気配も感じられなかった。近くには誰もいないのかもしれない。 勇気を振り絞って、恐る恐る袋から這い出してみる。 袋は縛られていなかったようで、あっさりと出ることが出来た。 「ここは……?」 周囲を見回すと、見慣れた自分の家の庭に放置されていた。
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