チャリ話と父ちゃんと

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さて、この母ちゃんをこのエッセイのタイトルのごとくお冠にさせた奴がいる。 そう、昨日に入院した父ちゃん。 なんでも、面会は火曜日の2時から5時? 6時? くらいまでしかあかんらしい。 しかも15分以内。 母ちゃんは、昨日に入院する父ちゃんの付き添いをした時に父ちゃんが「パックジュース買ってきて欲しい」なんて言ったから6パックも準備して保冷剤つきで持っていった。 家を出たのはおそらく一番暑い時間帯、2時過ぎ。 そして行ったら行ったで、なんでもこれから検査やから3時半に来てほしいってメールしたのに、と父ちゃんから冷めた顔で言われたらしい。 冒頭を繰り返す、毎日暑い。 溶けそう。 母ちゃんは、「検査の間病室で待ちます」と余程に言いたかったらしいが、面会時間15分以内と決まっている以上ブチブチ言えなかったらしい。 そして、病院の駐輪場から俺に 「聞いてや和真―――!」 と電話してくるという。 そう、このクッソ暑い中、もっぺん1時間後に出直しやって。 「まぁ、家から病院までチャリ10分強なんやけどな。 旦那病気で入院しとったら、そりゃしゃーないわってのが世間様の声かもしらんけどな。 ……あっついねんってばよ!!」 母ちゃんは帰ってきて、あまり涼しくないクーラーの部屋で吠えた。 「ちゃうねん!! ここであの父ちゃんが『ごめんな暑い中来てくれたのに』って言い方をしてくれとったら、こっちかてこんなに吠えへんねん。 分かるか少年!!」 お、おう。 も~……父ちゃん、こっちまでとばっちり来てるんやけど……
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