雨上がりの恋人

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「…っ!?」 気が付くと私は自分の部屋にいた。 「え、さっきのは夢…?」 私は咄嗟に姿見に駆け寄った。 「夢じゃない…。」 姿見の中の私は間違いなく彼から貰ったワンピースを着ていた。 私は急いで神社の水溜まりに向かった。息を切らしながら着いたその場所には水溜まりはもう無かった。陽光がもろに当たる場所であるため、晴れ渡っている今、すっかり蒸発してしまったのだと理解した。 私はまた次の雨を待ち続けた。梅雨の時期はとうに過ぎてしまっているため中々雨の予報が無く、雨が降ったのはその日から2週間後だった。 たまたま日曜日で仕事も休みの私は、窓から土砂降りの外を眺めていた。 元々雨は嫌いではなかったが、何故だろう、とてもワクワクしていた。多分ずっとニヤついて雨を眺めていただろう。 その日の夕方に雨が止むと、私は迷うことなく裏の丘の神社を目指した。何故だかわからないけど、またあの不思議な水溜まりは存在しているという確信があった。 予想通り、この前と同じ場所に水溜まりが出来ていた。 「…ん?」 気が付くと、目の前には彼のアパートがあった。 …やっぱり来れた。あの水溜まりを覗くと意識が失くなって彼の街に来れるんだ。 私はアパートの階段を駆け上り、彼の部屋の前に着くと深呼吸をしてからインターホンを鳴らした。彼は誰かと確かめもせずにすぐに玄関の扉を開けた。 「やっぱり。不思議な事なんだけど君だと思ったんだ。」 彼はあの優しい微笑みで私を迎え入れてくれた。 「この前は気が付くと君の姿が無かったんだよ。もしかして、今日も例の水溜まりから?」 「うん。あれからずっと雨を待ち続けてたの。…あなたに会いたくて。上手く説明出来ないんだけど、あれからずっとあなたの事が頭から離れなかった。」 私はそのまま彼に抱きついた。彼は抵抗することなく私を優しく包みこんでくれた。
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