届けたい反骨精神

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―――冗談じゃないわ。 実家はとても居心地が悪かった。 こんな家なんか知らない、捨ててやると思ったところで、飛び出していくことは容易じゃなかった。 実家では父母が離婚、ずっと母子家庭で育ってきた。 結婚なんてもってのほか、生涯母娘で生きていくことを既に決定づけられていた。 そんな実家を無理矢理捨てたことにバチが当たったのか。 婚活の末の結婚が幸せだったのは、最初だけだった。 義実家同居は思いのほか肌に合わなかった。子どもが生まれた時も、幸せよりもしんどさを感じた。 実家を捨ててきた私には、味方なんていなかったのだ。 ましてや生まれてきた子どもは発達障害持ちだなんて。 なにか違う、なにかがおかしいとは思っていたが、この子が「自閉症スペクトラム」だと言い渡された時は目の前が真っ暗になった。 毎日がいっぱいいっぱいだ。 子どもといて楽しいことが皆無という訳じゃない。 癒されることだってある、ちゃんと感じてる。 だけど、決して満たされなかった。 公園に連れていった。 ボール遊びをしていたら、受け取り損ねた我が子はボールを追いかけていった。 トラックが迫ってきているだなんて、考えもしなかった。 声すら上げられなかった私と違い、近くにいた中学生か高校生くらいの男の子が駆けた。 我が子を突き飛ばし、代わりに彼がトラックと衝突した。 その光景は、私の脳裏に瞼に激しすぎるほどにしっかりと焼き付いてしまった。 うちの子のせいで、彼は死んだの? え、それは私のせいってことになるの? 私は何もしてないじゃない。 彼の親御さんにはなんて言えばいいの? え、だって轢いたのはトラックの運転手じゃないのよ。 主人に、あの義両親に、どう対応したらいいの? なんで私がこんなに悩んでるっていうのに、この子は何事も無かったように笑ってるの……?
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