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「……はい」  イズは数秒迷った後、うなずいた。 「どこから話すのが一番良いのかわからないが――そうだな、書斎でのことも誤解だ。あれは、読んでいた本を見られたくなかっただけで……」  ラーファの巻き尾が急にばたばたとせわしなく動き出した。 「本、ですか。最近ずっと同じ本を熱心に見ていらっしゃるとは思っていましたが」 「……せ」 「せ」 「……性愛の手引書だ」  ラーファは自分の口元を手で覆い隠し、聞き取りづらい小声で告げた。  イズは首をかたむけ、まばたきをする。尋ねたいことは数多あるが、言葉が出てこなかった。
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