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 目蓋越しに朝の白い光を感じ、イズはいやいや上体を起こした。  一人で寝るには広く豪華すぎるベッドで目覚めるたび、イズの胸の中で小さなトゲがちくちくと痛む。  痛みを紛らわせるように頭を振ると、動きに合わせて長い黒髪がもったりと揺れた。 (ここで一人で寝るようになってから、もう二十一日……)  日数を正確に記憶している自分の細かさに嫌悪を覚えながら、イズは髪を片手でまとめた。重い身体を引きずるようにしてベッドから這い出る。  顔を洗い、昨晩用意しておいたドレスに着替え、邪魔にならないように髪を結う。最初の数日は侍女に髪結いを手伝ってもらっていたが、気まずくなって断った。  姿見で全体を確認し、最後に指で口角を持ちあげて微笑みの練習をするのがイズの朝の習慣だ。  イズが鏡に顔を近付けると、紫色の眠そうな目をした二十歳前後の女が映る。  寝起きだから、ではない。二重幅が広く、目尻が下がっているのが原因だとイズは思う。皆は気を使って「おっとりとしていて可愛らしい」と言ってくれる。イズの中では、嬉しさよりも申し訳なさの方が上回った。
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