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I
いつかのお昼下がり。
長らく空室である、私のお隣さん。誰かが住んでいるとかいうわけでもなく、かと言ってこれからも到底先まで埋まらないだろうその部屋は何時も散らかっていた。
そんな、汚かった筈の部屋に人が出入りする様になり、暫くすると綺麗になり...
「なんでこんな部屋に入ろうと思ったんだか」
他の部屋に住む住人さえも困惑している中、その部屋が埋まった。当然、住むことを決めた張本人は他の人たちの間で噂になっていた。
「世の中変わったやつもいるもんだねぇ」
「きっと何か強い思いがあるんだ、じゃないとありえないさ」
「僕たちも、みんな同じ様な理由だしねぇ」
共通のゴミ捨て場に集った住人たちは、決まってこの話をして、勝手に納得することを繰り返している。
私は少し臆病だから、あの人達の会話には混ざれなかったけれどそれはいい。慣れてるし...
そんな何時もの事を考えていた私の部屋に、突如ピンポンが鳴った。
突っ伏して寝ていた体を押し上げ、のそのそと玄関まで行き、ドアノブを握ってガチャリ、ゆっくりと開けると。
「こんにちは、迎えにきたよ」
そこには、後光の刺したたいそう、たいそう綺麗な男の子がいたそうな。
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