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II
何処まで歩くのだろう、こんな果てのない道を。
勢いと直感に任せて犯した奇行は、どうやら何処までも遠い場所に行き着くらしい。見慣れたはずの小道を潜り抜け、開けた場所のその先には大きな街が広がっていた。空からは無数の輝く紐が垂れ、キラキラと音を鳴らしながら揺れている。
頭スレスレまで伸びているので、隣のおばけさんは上半身に紐をぶつけながら悠々と歩みを進めていた。
「なにか」
「いや、痛く無いのかなって」
「こんなので死んだら世界が終わってしまうぞ、この世界はこいつに覆われているんだから」
がはは、とおばけさんは豪快に笑った。彼の体から骨の様なものも何本か飛び出ていく。何やらいかしたジョークだったみたいだ。
涙の後を拭いたおばけさんはひとしきり自分の身の上を話しながら、何度も「君みたいなやつはそうそういないさ」と嬉しそうに微笑んでいた。
「ちなみに私のことをおばけなんて言うやつもね」
内心ギョッとした。
おばけ、と呼んでいるのは君に伝えていないし、頭の中だけだった筈なのに...
「私は人から決めつけられることが1番嫌いなんだ、神なら許すが」
おばけさんはただ真っ直ぐ先を見つめて歩き続けている。
内心舌打ちをしながら、少し早くなるおばけさんの後ろをついていく。
最高神、誰も本当の名を知らない存在。
この世界の空の上に続く惑星にいる、皆を救う存在だ。この世界にいる人なら誰もが知る、ここの1番上の地位の人だ。
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