II

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かつて旅人だったおばけさんは、最高神様に助けてもらったことがあったらしい。きっかけは些細なことだったらしいけれど、その日から憧れが強くなっていったそうだ。 道中彼の異様な服装が気になって尋ねた。 「その服は最高神から?」 「ああ、何もかもがなかったからな」 「たしかに」 大事そうに首から下げられたネックレスを触る、肉付きのない骨の手。今こそ聞くべきなのか、それとも当たり前のこととして許容しておけば良いのか分からず、まとまらない思考が空に躍っている。それもまた、空の紐がなる音と混じって消えてしまいそうだ。それ程私にとっては儚い物なのだけれど。 「君は最高神を知ってるか」 おばけさんは周りをじっと眺めつつ私に尋ねる。 私が知っている事を、既に先の会話で察せているだろうに再度問い直してきた。彼の凄さをそれ程自慢したいのか、私の無知さを恐れ慄くのか? 「しってるさ、彼私の友達だから」 「...何を言ってる」 「あは、冗談だよ」 「その言葉を聞けて安心したよ」 「さあ、ひとまず着いたか」 目の前には大きな村が広がっていた。 そこは空高くに大きな屋根が作られ、紐はそこで引っ掛かり随分な高さで止まっている。出店のような屋台と、大きな煉瓦造りの家のならびが永遠と奥へ続いていた。
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