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Ⅲ
「これ勝手に入ってよかったの?」
おばけさんは私が何を言おうとしたか知っていたかのような顔をした。うんざりしてる、またいうのかみたいな。なんでそんな変な顔をするのと聞こうとしたら、手で口を塞がれてしまう。
抵抗はしなかったが、何がしたいのかわからないまま、一瞬宇宙の中を彷徨った。
「...ケイリー、緊急だ」
どうやら知り合いだったらしいおばけさんがそういうと、奥の部屋からだんだんと階段を降りる音が聞こえ、それは段々近くなり、そして急に止まる。初の対面にドキドキしつつ、ドアが開くのを待ったが。
そして来ないケイリーさん。
怪我でもしたのだろうか、などと考えていると再びなり始め、その勢いのままカウンターのドアが開いた。
「あんたねぇ、今休業中って言ってんだろ?!めんどくさい事させんじゃないよ!!」
だん!!と勢いよく開いたドアは取手が木製の壁に嵌り無理やり止まった。そんな事気にしてないくらいケイリーさんはおばけさんに怒号を浴びせた。鬼のように凄まじい様相だ。
しかも...鼓膜が破れそうだ、耳がきんきんする。
「ケイリーの声はうるさくて仕方がないってさー」
ばっと横を向くと、おばけさんはニヤニヤしながらこっちを見ていた。
こいつ......!私がって事か?!
途端にケイリーさんのヘイトがこちらに流れ始める。重い空気に耐えられず、思わず叫んだ。
「いや違うんです、この人が読んだフリして嘘ついてるだけで____」
なんでいきなり誤解されなきゃいけないのか、ふざけないでと思った瞬間、
「________なんだ、知ってんのか。ゆってよ」
ケイリーさんは緊張が解けたかのようにヘロヘロと机にもたれた。それを見ておばけさんはケラケラと楽しそうに笑っている。2人の反応を見て、更に何もわからなくなったしまった私は、ただ困惑するしかなかった。
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