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「本当に叔父さんが大好きなんだね」
「うん、ギターを教えてくれたのが叔父さんだからさ。師匠ってやつ」
「ふふ。藤崎くんって音楽の話になると、すっごく興奮するね」
「あっ……気持ち悪いよな」
「う、ううん! 藤崎くんの音楽の話もっと聞きたい」
「つまらなくないか?」
「全然! MCでも藤崎くんの話、面白かったから」
「東城さんは物好きだな」
「あっ……けど、藤崎くんは女の子……」
あまり女の子と話さないし、うざいかも?
「東城さんは話しやすいから大丈夫。は、話してみたいなって俺も思ってたし……」
「そ、そっか。嬉しいな……」
「う、うん」
なんか変な空気になってる。
「あ、あのさ! 依織で良いよ」
「えっ?」
「皆、気軽にそう呼ぶし」
「じゃ、じゃあ! 私は文香で良いよ」
「えっ! 良いのか?」
「うん!」
男子、皆苗字に君付けだけど、彼は特別だから……。
「じゃ、じゃあ……文香」
「はい!」
「なんか慣れない….…」
「名前、呼ばれると嬉しいね」
「友達に散々呼ばれてるだろ」
「依織に呼んで貰えたのは初めてだもの!」
「そ、そうか」
やっぱりなかなか目を合わせてくれないな。本当はうざいとか!?
「あの……依織……」
「依織ー! 昨日のライブ最高だったよ!」
「CDたくさん買っちゃったー!」
いきなり違うクラスの女子達が依織を囲んで来た。
やっぱり女の子に人気なんだなぁ。
「あ、ありがとう……」
「今日も昼休み練習あるでしょ? 行って良い?」
「昨日のライブだけじゃ物足りなーい!」
「部室は部外者立ち入り禁止で……」
「けど、愁くんは1年の子を部室に連れ込んでたよー?」
「はぁ!? またか……」
依織は頭を抱える。
「何、何ー? 俺の噂?」
「愁、てめぇ何度言ったら分かるんだ! 部室をラブホ代わりに使うな!」
「えー? だって部室くらいじゃん、先生の目が行き届かないの」
「神聖な部室を汚すな! 音楽以外やっちゃいけねぇんだよ!」
「武道系の部活じゃないのにー」
依織は白石くんの胸倉を掴む。
「とにかく! 女連れ込むのは家だけにしろ」
「依織は真面目だなぁ。だから彼女できないんだな」
「黙れ」
そっか、彼女いないんだ……。
「悪いけど、俺らの演奏はライブの時しか聴かせられない」
依織は女の子達にきっぱりと断る。
「依織の意地悪ー!」
「ちょっとくらい良いじゃん」
「だめだ。気が散る」
ばっさりだ!
やっぱり、私も実は依織にうざいとか思われてる?
彼女達がいなくなると、依織は溜息をつく。
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