君に想いを届けたい

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君に想いを届けたい

あれから何も進展せず、もう9月。 花乃にキレ気味にとっととくっつけよ!と 言われ、チョコレートを昨日作りました。 あたしは白い冷蔵庫の中の可愛らしい 袋を手に取った。 袋の中に入っているのはココアをまぶした トリュフチョコレート。 レシピサイトで調べて昨日作ったものだ。 スーパーで市販のを買おうとしたら 花乃に止められたんだよね。 告白するなら手作りの方が想いが伝わるって。 そして試行錯誤しながら作ったんだけど これ、いつ渡そう。 学校で渡すのもなんか恥ずかしいし…。 花乃にメッセージアプリで相談してみることにした。 『じゃあ、萩本くんをデートに誘ってみたら?』 で、デートォ?! 想像の中の想司とあたしが手を繋いで 仲睦まじく歩いている。 いやいやいや。 『デートなんて恥ずかしすぎるって!』 『じゃあ、いいの? 想司くんが向こうで可愛い彼女を作っちゃっても』 うっ、そ、それは…。 『それは嫌だけど…』 『じゃあ、明日萩本くんにチョコを渡しなよ。 あんたはいつまでたっても想司くんにメッセージ 送れなさそうだから、わたしから言っておくから! 集合場所はあんたん家の前!それじゃ!』 『ちょっと、花乃!待ってよ』 既読がつかない。 恐らく、想司にメッセージを送っているのだろう。 やめてー!と叫びたくなる。 けど花乃もいつまでもウジウジしている あたしにイライラしてたみたいだったし、 きっと背中を押してくれたんだよね。 「ありがとう、花乃」 あたしはスマホ画面に向かって微笑んだ。
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