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手足に頑丈な錠を掛けられ、年のためにロープでも縛らている三人は、寝袋に入り、うつ伏せになったまま九路を見上げた。
「やぁ、久しぶり」
九路は笑顔で上から言葉を投げる。九路と半グレ達は目で合図をし、半グレ達は来た道を引き返して、何処かへ行ってしまった。
まずは一人、口をふさぐタオルを外す。
「何だよこれ、ちくしょう」
金髪の頭の悪そうな男が開口一番に言った。
「九路だよ、いや、君達は僕のこと『クソ』って呼んでたからそっちの方がしっくり来るかな?」
「九路って……」
この馬鹿はようやく状況を少しずつ理解したらしい。
「お久しぶり、五島くん」
そう言って九路は金髪の男に足を振り下ろした。
「がぐえっ」
鉄板入りの重たい安全靴が顔に叩き込まれ、口の端が切れて血が流れる。
「お前、何のつもりだ!!」
「君たち流の挨拶をしたつもりなんだけど、気に入らなかったかな」
もう一発顔を蹴る。
「ぐっ、っくそざけんな」
五島は反抗的な目で九路を睨んでいた。
「君は何も変わってないようで安心したよ。これで気持ちよく復讐が出来る」
「復讐だと」
五島が聞き返すと、九路は頷いた。
「うん、復讐。僕は君達のイジメのお陰で、つらい思いをして、未来までグチャグチャにされた」
九路はカバンの中からアイスピックを取り出した。
「だから、君達を殺して、僕も死のうと思って」
手に握られるアイスピックを見て五島は叫ぶ。
「ざけんな、んな昔のことで」
「君達にとっては過去でも、僕はトラウマで毎日思い出しているから最近のことだよ」
そう言って、九路は五島の目にアイスピックを突きつける。
「君はよくコンパスの針で僕の背中を突いてきたね。君は今からこれで死ぬ」
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