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九路は鉄板入りの安全靴で二九田の顔を蹴り続けた。足が疲れると、金属バットを振り下ろし続ける。
段々と二九田の声がしなくなり、ぶふーぶふーっと血を吐きながら呼吸をするだけだった。
ナイフを構え、背中を狙う。トンッと刺さり、二九田には致命傷が出来た。
九路は最後の標的の猿ぐつわを外す。涙を流しながらハァハァと荒い息をし始めた。
「やぁ、不二伊くん。君はこのクズ共の後ろに隠れて僕の悪口を言っていたね」
「ち、ちが、ちがう」
「何も違わないよ、僕は君の口が嫌いだ」
そう言ってナイフをおもむろに不二伊の口に突っ込んで、頭を押さえつけかき回す。
声にならない声を上げて不二伊はのたうち回った。
「君は僕に触るとばい菌が移るって言ってたよね。移してあげるよ」
九路は濃硫酸の入った瓶を持って不二伊の顔に掛けた。暫く待つと苦しそうにうーうーと呻いていた。
腕や背中、足にも切れ込みを入れて濃硫酸を流し込む。その度に体がビクンと震える。
死にかけの三人の前で九路はタバコに火を付けた。ふぅーっと一吸いすると、ニコチンが体に染み渡る。
復讐は何も産まないと言うのは馬鹿だと思っていたが、いざやってみると、確かにスッキリはする。だが、同時に虚しさも感じていた。
こんな奴らに自分の人生はメチャクチャにされ、復讐で人生を奪ってやった。
タバコの火を消すと、九路はガソリンの携行缶を持ち、一人ひとりに丁寧に浴びせる。
「何で、何でこんな事になっちゃったんだろうね」
イジメによって九路は過去も現在も未来も奪われた。本当はクラス全員を道連れにしたかったが。
ふと夜空を見上げる。木々の隙間から見える空は美しいものだった。
もっと惨たらしく殺してやろうと思っていたが、実際やろうとすると中々出来ない。
あぁ、あれだ、腹減ってる時に無限に食えそうな気がしても、実際食べるとそんなに食えねぇのと似てるなと九路は考えていた。
また新しいタバコを取り出すと、火を付ける。深く吸ってから、それを放り投げた。
一気に引火し、3人を火だるまにする。もう何も聞こえてこない。
何だか一気に疲れが出た。九路は燃え盛る炎を見ながら、木にもたれかかり目を瞑った。
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