《新たな仲間》

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《新たな仲間》

「俺、地獄民として生きているけど外の世界も見たいんだ! だからもっと強くなって、地獄の門番をぶっ飛ばそうと思ってさ!」  溌剌(はつらつ)とした声量で話していくケイにライは頭を掻く。それから大あくびをかましたのだ。 「残念だが俺たちは地の龍に会いに行くのが目的だし、地獄をぶっ壊すつもりもねぇ」 「でも、それだけの力があると俺は思う!」 「……まぁ、それは……ありがてぇけどよ」  照れくさそうな顔をするライにルゥは素直に褒められたら嬉しいんだなとなんとなく心に留めておいた。  ケイが決したように頭を下げる。 「お願いします! 俺を弟子にしてくれ。それで、一緒に地獄をぶっ壊そう!」 「いや、だからこれ以上の味方を付けてもだな――」 「ちょっと待って、ライ。この子は味方につけるべきだよ」 「……なんだよ、急によ」  するとルゥはケイに近寄りその姿をじっと見る。民族衣装のような格好であるが筋肉が十分すぎるほど付いているのはよくわかる。  ライほどではないが茶髪の髪を流して一つに結んでいるのも精悍な男らしさを感じた。  だがそれだけではないのだ。ケイを引き入れたいのはある理由がある。 「地獄民っていうのはね、地獄に認定された種族で戦闘能力が高いんだ。しかも地獄からの加護も受け入れられている……よね?」 「まぁそうだな!」 「……マジかよ」  そんな種族など聞いたことがなかったライは驚愕した。でもそれより驚いたのは―― 「カゴって……かご背負ってんのか、こいつ?」 「え?」  ケイの背中をじっくりみるが、かごらしきものは見当たらない。もしかしたらスケルトン的なものかと思ったが、戸惑っているケイを差し置いてルゥが咳を一つ。 「加護はその背負うかごじゃなくて、守られているっていう意味。地獄民は地獄にとっては味方みたいなものなんだよ。でもその代わり、――地獄で一生を過ごさないといけない」 「どうして……だ?」 「そういうルールがあるからだよ。掟なのさ」  納得がいかない。それから地獄民だから地獄を守るのが専門らしいというのも聞いたがそれにしてはあまりにも不憫ではないか。  外の世界を見るのもだって十分勉強になるとライは考える。自分は地上の世界から来たからなおさらだ。  地上から来たから地獄の辛さがわかった。この世界が大嫌いだと考え――変えられたらいいのになと常日頃思っていた。  安心で安全で平和な世界を望んだ。 「だからライ。この子が居た方が地獄の門番も苦情が来ると思って開けやすいかなって」 「……なぁ、ルゥ。地の龍に会いに行ってお前の翼を直すことが目的だよな」  ルゥは軽く頷く。すると満足そうに微笑んで「じゃあケイ、お前も手伝ってくれ」手を差し伸ばした。 「こいつの翼を直すのが一番だが外の世界を見た気持ちもわかるからな」 「――ルゥね」  一瞬の間が空いたかと思えば笑っていた。 「うん! よろしくな、ライにルゥ」  力強い手で握手をしたのだ。
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