届けたいカセットテープ

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アンコール。 ステージに出る。客席を見渡した。約500人がスマホライトを照らしていて。その光でお客さんの顔が見える。2階席も。 最前列に目をやれば、ワダくんとユナちゃんが、めちゃくちゃ楽しそうに手を振ってくるから手を振って返す。 ありがとう。君たちのおかげで楽しいよ。 ワダくんはバラードで泣いてた。もしかして、君たちまだ付き合ってないのか?だったらワダくん、大丈夫。君たちなら上手くいくよ。 新曲はぶち上がって楽しんでもらって、オーラスもみんなで大声で歌って。 4人で肩を組んで客席にお辞儀をした。 鳴り止まない拍手の中、透が首にかけていたタオルを投げた。透の汗を吸い込んだ透臭(とおる しゅう)がするタオルをゲットしたのがゴリゴリのギャルで透が狙って投げたとわかった。透はギャルが好き。ギャル、そのタオル早く洗えよ。臭いから捨ててもいいからな。 でも、俺も透にならってワダくんとユナちゃんに向かって目を合わせてからアクキーを1個ずつを投げた。2人ともちゃんとキャッチしてくれた。良かった、ちゃんと狙えばちゃんと投げられるんだ、俺。 平等になるように他のお客さんにも5個くらい投げた。キャッチした人が手を振ってくれたから手を振って、袖に履けた。 「傑、高校生にファンサしすぎ。」 侑にため息をつかれた。 「侑。あの子たち、がんばって盛り上げてくれたの見てなかったの?」 「ファンには平等に。」 「したよー。」 ま、ワダくんとユナちゃんのことは確実に贔屓したんだけどね。
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