第2話 茉理子視点

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 日付が変わり、窓からの陽光に目が冷めて、ベッドから起き上がって制服に着替える。  今日も今日とてなにひとつ刺激のない1日が過ぎていき、午後の最後の授業の時間になった。  今日のラスト授業は、総合学習の時間だった。  2人一組(ひとくみ)になって授業は進んでいく。  誰が誰と組むかは男女ランダムで決まる。  私は不安になったが、結果的に悟くんとペアになった。  私達はまず静かな図書室へ教室から移動して、今日から始まった授業の課題第1弾の調べ物を始めた。  参考資料が手に入ったところで、2人隣同士でレポートを書いていく。  私は左利きで、悟くんは右利きだから、時々肘があたってしまう。  すぐにお互い謝ったけど、悟くんは許してくれた。  その一方で、私は初めて悟くんを男として意識してしまった。  そこからだ。  この胸のドキドキがとまらなくなったのは。  放課後も一緒に課題をこなして、夕焼けが見えてきた頃、私達はまた一緒に下校した。  「じゃあ、またな」  「またあとで」  帰宅後、すぐに私のガラケーに悟くんからLINEがきていた。 「さっき、茉理子と肘と肘がぶつかり合ったとき、茉理子のこと、女として意識しちまったよ。やっぱり俺達、そろそろ次の関係にならないか?」 「クラスの女子の視線が気になるから、私達はまだこのままの関係でいいかなと私は思ってる」  チャンスを逃したかもしれない。  そう思わずには居られなかった。  私と悟くんは中学時代からの付合いで、お互い親友として絆を強くしてきた過去がある。  すぐに悟くんから返信が。 「わかった。じゃあ、もう少し待つ。そしたら、もう1回同じこと聞くから」 「わかった。おやすみ」 「おやすみ」  そこで今日のLINEトークは終わった。
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