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…思い出した。これは少し前お父様から聞いたお話。
お父様は、人間のある女と結婚した。愛のない結婚で、政略結婚?ってやつらしい。
跡継ぎのために無理やり子供も作らされたけど、生まれてきたのは普通ではない不思議な子供。
僕には狐の尾と耳が生えていたの。ソレを見てパニックになった女が元々九尾あった僕の尾を一本引きちぎっていってしまったうえに、どこかに逃げていってしまったの。
おくるみの赤は、この時僕から溢れ出した「赤」。お父様と僕を傷つけた女を母とは呼ばない。絶対に、呼びたくない。
起き上がって、再度お父様を見た。
息をしていないお父様はとても美しかった。まるでお人形さんみたい、な。
今まで本当に幸せだったのに、こんなにも簡単に絶望へと突き落とされた。血が繋がっていて、心を許している人はお父様しかいなかったの。
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