【3】恋の出会い頭

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【3】恋の出会い頭

①  周りの音をすべて消してしまうほど大きな雨粒が俺の傘を叩きつける。日向の足元は怒ったように地面から跳ね返る雨でグチョグチョになってきた。今日は残業で遅くなってしまい駅で降りると、先ほどまでポツポツと降っていた小さな雨が大雨に変わっていた。小降りになるのを期待し駅前の牛丼屋で時間を潰してみたが思いは届かなかったようだ。夜空を見上げると更に雨脚が強くなっていた。 「まじか…」  街灯に光る雨を恨めしく見上げた日向は諦めて歩き始めたのだった。駅のバス停はこの雨で大行列で何台も待つのも面倒なので歩いて帰ることにしたのだ。  日向の家は大きな公園を抜けた住宅街の中にある。いつもは公園の中の芝生を横切り通過するのだが、今日はアスファルトの道を選んでぐるっと公園の外を歩いた。
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