【3】恋の出会い頭

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②  翌朝目覚めると雨の音は聞こえないが窓の外はどんより薄暗い。情報番組の天気予報は東京は朝から晴れと言っているのに横浜はまだ雨が残っている。 「こっちの方が西側なんだから普通こっちから晴れるだろ?」  テレビのお天気キャスターにぼやいた。  玄関を出るとぽたぽた落ちる雨を見上げた。向こうの空はずいぶん明るいが日向の頭の上には薄くなった雨雲がまだ残っていた。  水たまりで悪くなった道を避けるため、今日はバスで行くことにして坂道を下っていくとバス停には既に2人並んでいた。  やみそうで止まない雨は、好きな人に気持ちを伝えることを決め、本人の前までいったのになかなか言い出せない煮え切らない気持ちに似ていると思った。
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