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③
今朝も席は埋まっていたが、先日ほど混んでいない。それほど雨が降っていないせいかもしれない。
真ん中まで進んでいくとつり革を持った。信号が赤に変わって停車した時、こっちを見ている視線に気付いた。
(あっ、あの子…)
目が合うと彼女は目線をそらした。
その後も彼女を気にするが彼女はずっと前を向いたまま目を瞑った。俺を見ていたと思ったのは気のせいだったか?もう会えないと諦めていた想いがまた日向の胸の中に広がっていった。
今度いつ会えるかわからない。いや、二度と会えない可能性もある。
次にバス停で止まって人が降りた時、思いきって彼女の前に移動した。
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