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④
「前に会った翌日、また会えるかなと思ってこの時間のバスに乗ったんです。でも、雨宮さん乗ってなくて……」
「えっ、そうだったんですか? 私、ホテルで働いていて出社が朝番の時はこのバスなんです。実は私も次の朝番の時に古市さんに会えるかなと思ってたんですが……」
日向はさして大きくない目を見開いて美月を見返した。
「僕は晴れた日は駅までの自転車か歩きで行ってて、あの時は雨だったのでバスを使ってみようと初めて乗ったんです」
日向の話を聞いて美月が笑った。
「どうりで会えないはずだ」
日向も笑った。
『次は鶴見駅西口』
車内放送が流れると、二人の下車する停留所へ着いた。
日向が先に席を立って降車口へ歩くとすぐ後ろに美月が続いた。
バスから降りる時に傘を広げようとしたが雨はやんでいた。
「雨、やみましたね」
二人はバスを降りるとロータリーを2階上がるためにエスカレーターに乗った。
「あのー、雨宮さん? 今度よかったらご飯で一緒にどうですか?」
一段後ろの美月は笑顔で答えた。
「はい、ぜひ!!」
エスカレーターが上に着くと、駅舎の向こうに綺麗な虹が掛かっていた。
完
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