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ロッカーの解錠は、当たり前だが
最短時間で済ませる必要がある。
梨花にバレたら
ノートを別な場所に隠しかねない。
もっと言えば
そこでノートを公開される危険性まである。
今作戦は隠密を維持する為にも
極力、短時間で済ませる必要があった。
「暗証番号は見えなかったか? 」
「それは流石に……。
手元のダイアルは小さ過ぎて……」
やはり、1万通りの中から
一組を探り当てなくてはならない。
最後にして最大の難関。
その時、渦中の人物がカウンターに現れる。
「キヨ〜、
いつもの持って来た〜? 」
清久は顔をしかめながら数学ノートを渡す。
梨花はその場でパラパラとめくり始めた。
「……ねえ、今もマンガ描いてるの? 」
「冗談。あんなのもう描かねえよ」
「そう……」
梨花はどこか寂しそうに答える。
予想外な反応に
清久と筒井は一瞬、目を見合わせた。
「それがどうかしたか? 」
「別に。じゃ来週もよろしくね〜」
梨花はどこか憂いの残る声で去って行った。
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