Chapter.1

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ロッカーの解錠は、当たり前だが 最短時間で済ませる必要がある。 梨花にバレたら ノートを別な場所に隠しかねない。 もっと言えば そこでノートを公開される危険性まである。 今作戦は隠密を維持する為にも 極力、短時間で済ませる必要があった。 「暗証番号は見えなかったか? 」 「それは流石に……。 手元のダイアルは小さ過ぎて……」 やはり、1万通りの中から 一組を探り当てなくてはならない。 最後にして最大の難関。 その時、渦中の人物がカウンターに現れる。 「キヨ〜、 いつもの持って来た〜? 」 清久は顔をしかめながら数学ノートを渡す。 梨花はその場でパラパラとめくり始めた。 「……ねえ、今もマンガ描いてるの? 」 「冗談。あんなのもう描かねえよ」 「そう……」 梨花はどこか寂しそうに答える。 予想外な反応に 清久と筒井は一瞬、目を見合わせた。 「それがどうかしたか? 」 「別に。じゃ来週もよろしくね〜」 梨花はどこか憂いの残る声で去って行った。
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